去年の節分は、私だけ家に一人残され侘びしくロンリ―豆まきを仰せつかった。
今年は家族みんな新居に揃っており、チワワのリっちゃんも居た。
鬼のお面を誰が被るかと議論になり、皆してイヤイヤしたので、何の発言力の無いリっちゃんが鬼の役を買うこととなった。
流石に顔には被せられず、背中にお面を括り付けた。
そんなヘンテコなものを付けられたので、パニック状態になり必死に家じゅうを逃げ惑っている。
そこへ私が「鬼は外、福は内。」と言って、豆を優しく投げると、更に興奮してウンコを漏らしてしまい、妻にひどく怒られていた。
何の罪の無いリっちゃんだったのに、それもお面をつけたのは今激怒している妻だったのに。
そして、リっちゃんは鬼のお面を自ら剥ぎ取り、冷静さを取り戻し、まき散らかされた豆をいそいそと食べ始めた。
何でも喰っちゃうのである。
階下の母と妹の部屋にも出向き「鬼は外、福は内。」と、儀式を果たした。
ただ、妹の部屋の窓を開け豆を外にまいたつもりだったが、網戸がしてあったため鬼は全部内側に跳ね返ってきてしまった。
それを見て妹は、激昂して「鬼は全部出してちょうだい、福をもっと頂戴。」と、ネダッタので奮発して大量に福豆を部屋中にまき散らかしてやった。
彼女の顔には、安堵の表情が窺がえた。
そんなことで、安心しきっているのだから、単純と言わざるを得ないだろう。
そんなこんなして、今年も無事豆まきの儀を滞りはありながらも貫徹した。
リっちゃんは、まだ豆を貪っている。



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