2017/04/19

朝の診療前の準備中に、事は勃発した。
私は、院長室で読書をしていた。
別室にいた３人の女性スタッフが何やら狼狽して騒いでいる。
「先生、直ぐ来てください。ゴッキーが、それもかつて見たこともないでっかいのが私たちの部屋に外から飛んできたのよッ！」
急かされて、スタッフルームに急行したが奴は見当たらない。
「洗濯機の上の先生の白衣の中に逃げ込んだのよ！」
仕方なく、白衣を翻してみるとでっかいそいつが姿を現した。
「じぇ、じぇ、じぇ！」
確かに想像を超えるイカツイでか者であった。
新聞紙を手にした私は、その悪阻マジい姿を目の当たりにして明らかにひるんだのだった。
とても潰すことなんてできやしない。
すぐさま「ゴキジェットプロ」を棚から探し出し、そいつに噴射した。
その仕業に過剰に反応した奴は、私めがけて飛んできた。
「キャーッ！」私は女々しくもギャルが驚愕したときに上げる叫び声を発し、その場に尻もちをついた。
周囲で観戦していたスタッフたちは、その私の狼狽ぶりを見て大笑いをしている。
人の気も知らないで、あわや私は心臓発作を起こすくらい動転しているのに。
そのさなか、奴は洗濯機の下に姿を隠しもう見つけ出すことは不可能であった。
後日、丁度いい時に現れた池谷君に洗濯機を持ち上げてもらい、奴の遺体を確認し葬ってもらった。
私は沽券を失し、ただの笑い者となっただけであった。
奴が許せないが、しかし奴はこの世から居なくなったのであった。
大捕り物騒ぎの朝なのであった。